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2023.12.24 (Sun)

MFSクリスマス2023


去年のクリスマス小ネタの続きみたいな小話です。
※完結後、数年経っていると思われます。

※大昔に書いたクリスマス番外編とは別時空だと思ってください<(_ _)>💦





 ダンっ!!

「えっ」

 ――聖夜。
 仕事を終えて世界を飛び越え彼の元に戻ってきた私は、いきなり部屋の壁に追い込まれパチパチと目を瞬いた。
 視界の端に彼の腕が伸びていて、これは所謂“壁ドン”というやつだと理解する。
 彼の相棒はお散歩中だろうか、この部屋の中にはいないみたいで。

「ラグ?」
「……サンタさんって誰だよ」

 そう低く言って顔を上げた彼は頗る不機嫌そうな、いや、なんだか苦しそうな表情をしていて。
 でもその言葉の内容に思わず間抜けな声が出てしまった。

「へ?」
「お前の口から最近よく出る『サンタさん』だ」

 確かに、クリスマスが近くなって彼にサンタさんの話をした覚えはあるけれど。

「お前の何なんだって訊いてんだ。答えろ、カノン」
「え、えっと、サンタさんはね、クリスマスの夜にプレゼントを持ってきてくれる」
「ああ、昔からよくプレゼントをもらってたんだろ? で、今年ももらったのか? そのサンタさんから」
「や、今年はどっちかっていうと私がプレゼントをする側だったんだけど」

 丁度今日私の勤めている音楽教室でクリスマス会があり、サプライズゲストで登場したサンタさんと一緒に子供たちにプレゼントを配ったのだ。
 皆すごく喜んでくれて、私もとても嬉しかった。――のだけど?

 ミシっと耳の横で壁が軋む音が聞こえた。

「そんなにイイ仲なのか、サンタさんとは」

(イイ仲……?)

 そこでやっと私は彼がとんでもない勘違いをしていることに気が付いた。

「――ち、違うよ! サンタさんっていうのはクリスマスに子供たちにプレゼントを」
「もういい。わかった。だが、オレの前でその名前は二度と口にしないでくれ。……オレは、お前がこうしてオレの元に戻ってきてくれたらそれで」
「だーかーら、違うってばっ!」

 パンっと私は彼の両頬を挟むように手を当てた。

「ちゃんと私の話を聞いてラグ!」

 彼はそんな私を見つめ、その青い目をパチパチと瞬いた。



 そうして、私はサンタさんについて彼にしっかり説明した。
 すると彼はやっと自分の勘違いに気付いて、その顔を真っ赤に染め上げた。

「私もちゃんと説明してなかったのが悪いけど、じゃあここのところずっと私のこと疑ってたってこと?」
「……ワリぃ」

 自分のベッドに腰掛け赤くなった顔を隠すように手で覆い謝罪した彼を見て小さく溜息を吐く。……でも。

 ――オレは、お前がこうしてオレの元に戻ってきてくれたらそれでいい。

 彼は先ほど、そう続けようとしたのだろう。
 私が未だにふたつの世界を行き来しているのは私の我儘で。それをラグはいつも文句を言いつつもきいてくれている。
 それを思ったら急に申し訳なくなって、私はまだ顔を赤くしている彼を包み込むように抱きしめた。

「カノン?」
「私こそ、不安にさせてごめんなさい」

 私の世界では常識でも、こちらの世界では通じないことはたくさんある。
 そのことをしっかり心に留めておかなくては。

 と、彼は私の背中に手を回し優しく抱きしめ返してくれた。

「今回はいつまでこっちに居られるんだ?」
「えっと、一応仕事は休みに入ったからしばらくはこっちに居れるよォっ!?」

 最後声が裏返ってしまったのは、彼が急に私を抱えたままベッドに寝転んだからだ。
 そのまま押し倒される格好になって慌てる。

「ちょっ!?」
「なら、たっぷり時間はあるんだな」
「そ、そうだけど」

 こちらを見下ろす瞳には完全にそういうスイッチが入っていて。

「良い子で待っていたんだ。オレにプレゼントはないんですか? サンタさん」
「~~っ」

 そんなふうに言われてしまうと弱い。
 私は仕方なく彼の首に手を回して、思い切ってその唇にキスをした。

「メリークリスマス、ラグ」

 きっと今私の顔はサンタさんの衣装のように真っ赤になっているんだろう。
 彼の青い瞳が大きく見開かれて、それから子供のように無邪気な笑みと飛び切り甘いキスが降ってきた。





 ――その後、彼が『サンタさん』のことをアルさんにも相談していたことが発覚、慌てて弁解、アルさんが大爆笑しラグが再び真っ赤になって怒鳴るという一幕もあったりしたけれど、それはまた来年にでも。



 Merry Christmas!!
 
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2023.04.05 (Wed)

「元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。」完結


小説家になろう様とベリーズカフェ様で連載しておりました「元聖女ですが、過保護だった騎士が今世(いま)では塩です。」が先日無事完結いたしました。
そしてお蔭様でランキングにお邪魔することが出来ました✨

【小説家になろう様】日間異世界転生/転移ランキング53位
【ベリーズカフェ様】総合:81位 ファンタジー・SF・冒険:15位 (4/5現在)

とてもとても嬉しいです(ノД`)・゜・。
たくさんお読みいただき本当にありがとうございます…!

未読の方でもし気になっていただけましたら是非…!

📖小説家になろう様で読む
ベリーズカフェ様で読む


以下、こちらの作品について少し語らせてください。
※ネタバレ盛大に含むためご注意ください。



♥ More..Open
18:06  |  小説【元聖女ですが、過保護だった騎士が今世では塩です。】  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2023.02.12 (Sun)

MFSバレンタイン2023


「ただいま~!」
「……」

 腕を組み不機嫌そうに迎えてくれた彼に向かって私は笑顔で手を上げた。
 彼――ラグの相変わらず殺風景な部屋。でも最近は私の私物が少しずつ増えてきている。

「ごめんね、遅くなって」

 彼の不機嫌な理由はわかっているので謝ると、彼はちろっと私の持っている紙袋を見下ろした。

「……お前、またティコ持ってきたのかよ」

 そして彼は呆れ顔で溜息をついた。
 最近私がよくアルさんへのお土産に向こうのチョコを色々と持ってくるからだ。
 確かに今日もそれは入っているけれど……。

「えっと、今日はね」
「まさか、それが遅れた原因じゃねーよな?」
「え? あー、うん、まぁ」
「はぁ。毎度毎度そんなに要らねーって」
「だってアルさんものすごく喜んでくれるから……って違うの! 今日はこれ、ラグへのチョコなの!」

 紙袋の中から彼専用にラッピングしたチョコを取り出して、差し出す。

「は? オレ?」
「今日は特別な日なの。あっちの世界の話だけど、バレンタインデーって言って、大切な人にチョコを贈る日で。だからこれは、なんと私の手作りです!」

 それを聞き、彼が青い瞳を大きくして改めてそのチョコを見下ろした。

「ラグがあんまり甘いもの得意じゃないって知ってるけど、一応私からの気持ちってことで心を込めて作ったから受け取ってもらえたら嬉しい」

 少し照れながら言うと、彼はゆっくりとした動きでそれを受け取ってくれた。

「あ、ありがとう……」

 その分かりにくい表情から喜んでくれているのがわかってこちらも嬉しくなる。

(頑張って良かった!)

 満足して私はくるりと彼に背を向ける。

「じゃあ、アルさんにも挨拶がてらこれ渡してくるね。セリーンいるかなぁ~」

 廊下へと続くドアを開けようとしたときだ。

「ちょっと待て」

 バタン、と私の背後から伸びた手がそのドアを閉めてしまった。

「え?」
「そんなんで出歩くな」

(そんなん?)

 彼を見上げ疑問に思った瞬間、ひょいと抱き上げられて驚く。

「わっ!」

 その拍子に持っていた紙袋が床に落ちてしまった。

「あー! ちょっとラグ!」

 しかしラグはお構いなしに私を運んでそのままベッドに腰を下ろした。
 彼の膝の上に座る格好になって私は焦る。これはもしかして……。

「ラ……っ」

 案の定、キスが降ってきた。
 ラグとのキスは初めてではないけれど、未だに慣れなくて身体が緊張してしまう。

(~~っ)

 いつもより長い気がするそれに抗議の意味を込めて足をバタつかせる。

「……はっ」

 漸く唇が離れてホッとする。でも、まだ終わりじゃなかった。
 今度は耳から首筋にかけてキスをされてぞくりと震えが走った。

「ラグっ、それ、くすぐったいからやだ」
「こんな甘い香りさせてるのが悪い」
「え……っ」

 ちゅ、ちゅ、と音を立てて徐々に下りてくるキス。
 される度にぞくぞくとしておかしな声が出てしまいそうになる。
 恥ずかしくてたまらなくて、でも逃げたくてもがっちりと抱えられていて動けない。

「~~、ちょっ、ほんとに、待ってって言って……んっ」

 ――もう、限界だった。

「ブゥーーっ!!」
「ぶぶぅ~~っ!」
「は?」

 どこからか飛んできたブゥがラグの額に軽~くぽんっと鼻スタンプを押した。

「うっ!?」

 ラグは身体を硬直させてそのままベッドに倒れこんだ。
 私はそんな彼から逃れ乱れてしまっていた胸元を慌てて隠す。

「ありがとう、ブゥ」
「ぶぶう!」

 お礼を言うとブゥは得意げに鼻を鳴らした。

「……いや、おま……うそ、だろ……」

 痺れて動けない様子のラグを睨みつける。

「待ってって言ってるのにやめてくれないのが悪い!」
「ぶぅ!」

 そして私は先ほど落ちてしまったお土産のチョコが無事かどうか確かめて、そのままバタンと音を立ててラグの部屋を出た。

「~~~~っ」

 熱いくらいに火照った身体にこの国特有の冷気が気持ち良かった。


END.




🍫おまけ

「あ、カノンちゃんおかえり~って、どしたのその顔?」
「えっ! な、なんでもないですよ。あのこれ、いつものです!」
「やった! いつもありがとねーカノンちゃん! あれ、ところでラグは?」
「え」
「カノンちゃんひとりで来たの?」
「ラグは、えっと……寝てます」
「寝てる? あいつが? カノンちゃんが帰ってくる日に?」
「は、はい」

(……ははーん)ピーン💡

「あの、セリーンは」
「あ~、セリーン少し前に長期の仕事が入ってさ~俺もここんとこ全然会えてないんだよね」
「そうなんですか。残念」
「だから、会えたら怒られるまで愛を囁く予定」
「あはは」
「愛が暴走しちゃうのは、それだけ会いたかったってことだから」
「あ……」
「――と、もうこんな時間か。俺も丁度仕事終わったとこだし、一緒に食堂行こっか。あいつも起きたら来るだろ」
「はい!」


 一方、まだ少し痺れてるラグ。

(次はブゥが寝てる間を狙うしか……)←懲りてない

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